海外アニメの書き散らし

ネタバレ注意!!

『ディリリとパリの時間旅行』

ディリリとパリの時間旅行 [DVD]

 

鑑賞日:2020/8/13

 

 


作画これでいいんですかね?
キリクとかのころの、絵画や絵本みたいな雰囲気はなくなり、ポスターカラー風のデジタルなセルルックに。背景、写真だし。コラージュ的なことなんですかね…。
フラッシュみたいなCGで、個人製作のPCゲームみたい。
狂犬病の犬の真っ赤なCG、レンダリング前みたいでちょっと笑った。
全体的に90年代の2DCGみたいというか…パリの様子も『アナスタシア』みたいというか。
アートエリート様は許せるんでしょうか。

 

冒頭のシーン結構衝撃でした。『バケツでごはん』あるいは『チェブラーシカ』のワニのゲーナみたいだなと思ってしまいました。でもそれ人間でやるってどうなの…。
見る前はてっきりディリリちゃんは親が移民で、本人は生粋のパリっ子みたいなのをイメージしてたんですが。
博覧会のあれ、人間動物園ってやつですよね。あの出し物が成立しちゃう時代だからこそ男性支配団も暗躍するっていう意味なのかな。異質な他者は見世物にしてもよし、椅子にしてもよし、というか…。
ディリリちゃんの両親の件は特に解決されずに終わるんですね。


狂犬病の犬にかまれた割に元気。


男性支配団が暗躍している割に、出てくる有名人は大体男性なので、そんなに暗躍する必要あるかなと思ってしまった。

男性支配団とかいうので、めちゃくちゃえぐい描写があったらどうしようと思っていたけど、一応あからさまにグロテスクではなかったのでちょっと安心。
でも四つん這いで進んでるだけでもすごく怖かった。カラフルな世界と打って変わって、黒い塊がぬるぬると動いている様子が異質で不気味。
ちょっとブルカにも見えてセンシティブだなと思いました。

 

飛行船での救出作戦を思いついた後に、女性陣の作戦会議のシーンをやるのは蛇足のような。でその内容も結局軍人や大統領に頼もうっていう他力本願というかパッとしないもので残念。まだこの現実的な会議の後にファンタジックな飛行船作戦が出てくる方が順序だっていてよかったんじゃないかと思う。(飛行船作戦のバックアップとしてこの会議を開いた設定になってたっけ?記憶があいまい。)

 

警視総監まであの一味というのは絶望的でもありリアルでもある。
しかしそこまで食い込んでいて、最後の「軍人が踏み込んで蹴散らしました」のナレーション処理だけでどうにかなるんですかね。こわい。あるいは能天気。

 

最後あのおばあさんも助けてあげてほしかったな。脅されて従ってただけかもしれんし。

 

あの運転手、改心したのは良かったけど、別に無理してマダムをほめたたえなくてもと思った。

 

直接行動して活躍するのは男性が多いなと。いっそあの青年は女性キャラにしてもよかったのでは。
女性はつなぎ役というか、誰かに頼んでばかり。歌手とか女優が多くて、技術者はキュリー夫人くらい。
夜のとばりの物語』を見た時に、「女の子のキャラクターがお姫様の在り方にツッコミを入れるわりにツッコミが生かされてなかった気がする」という感想をメモってたんですが、これもなんかそういう日本的リベラルの限界っぽさというか、お題目感を覚えてしまった。フランスもそうなのかな(あるいはアメリカがラディカルなだけなのか)。


そういやどの辺が時間旅行だったんだろう。