海外アニメの書き散らし

ネタバレ注意!!

『スモールフット』

スモールフット(字幕版)

 

これは面白かった!タイトルもシャレが効いてて秀逸。
自分は話の最初と最後で世界がガラッと変わってしまう映画が好きなのですが、この映画は世界が変わった後ではなく、変化の予兆をみせながら終わります。ですがその地味さが制作者の誠実さを表しているようで好感が持てました。
あとワーナーはここ最近ではすごく真面目なスタジオだと思う…。物語のラストにかかる曲のタイトルが「Moment of truth」とか、ねぇ。

 

 

 

作画がすごい~。やっぱこういうのが好きです。光の差し方が特にフォトリアリスティックで美しい…。
「Perfection」のシーンの朝の光と、そのあとの追放されるシーンで急に曇ったような灰色の色調や、みんなにうそをつくときの赤い光と青い影の迫力あるコントラストが印象に残りました。
実写風というかスマホフィルター風の柔らかい光の表現がすてき。あとカメラの動きもすごい実写っぽさがあって臨場感があります。

イエティたちの岩と氷の世界も質感がリアルで素晴らしい。それでいて単調にならないようにところどころカラフルな差し色があるのもこまやか。ふわっふわのカタツムリという発想!

 

ストーリーも、物語の語られる目線が複数あってよく練られているなと思いました。
パーシー(人間)側を主人公にして撮ってもおかしくなさそうなところを、そこをひっくり返して作ったところに単純ながらひねりが効いています(タイトルにかかってるところですね)。
なによりあのストーンの教えの秘密が明かされるシーンとかなかなかビックリしました。あのゴングは何の意味があるのか初見では分からなかったんですが、族長のラップのシーンを何度か見返してて気づきました。あれってもしかして太陽の動きに合わせてゴング(=鏡)をずらしてるんですかね。めっちゃ頭いいじゃん…ってなりました。(しかしちゃんと見てるつもりでも一回見ただけだとわかってないこともありますね(;´∀`))

 

ストーンキーパーの息子、たぶんすごいいいやつですよ。ああいう偉い人の子分なんだけどおバカなキャラすき…かわいい…。
「お前、追放じゃなかったっけ?」「そうだよ!」「そっか!」←すき


最初歌いだしたときはこの映画大丈夫かと思いましたけど、結構いいですね(歌にすぐつられるチョロいファン)
「Perfection」の歌の途中でさりげなくゴングが光る演出が好きです。
「Wonderful Life」のチョウとか、やっぱここ最近ああいうちまちましたものがまとまって動き回る演出定番ですね。細かいものをいっぱい動かすのってやっぱ面倒だから技術力の見せ所なのかな。
タツムリの太陽に隕石をぶん投げて爆発させるとこがすごい過激な感じがしてどきどきしてました。
この二曲のせい(というか主に「Wonderful Life」のせいか)とおもうんですけど曲の構造が『ポカホンタス』をほうふつとさせませんか。ヒロインの毛の生え方ちょっとネイティブの人の民族衣装っぽいし…。(話それますけどイエティたちはみんな髪型ならぬ毛型を自由にコーディネートできて楽しそうですよね。その代わり服を着てないけど…。)
Under Pressure の替え歌最高でした。元の歌も聞いたんですがこっちの替え歌のほうが自分は好きかも…。歌い始めの不安定でアドリブっぽいところから、後半興が乗ってきてどんどん上手くなるところに笑いました。save me save me……のところの気持ちの入り具合が半端ない。 あと請求書の山に落ちるシーンの光の差し方がスタジオ収録っぽさがあって妙にリアル。ネット世界の表現がやっぱ『絵文字の国のジーン』とは違ってハイクオリティですね(やめろ)。
それから族長ラップかっこよすぎませんか。重々しい場面に迫力を加えていて聞き入ってしまいました。コーラスのメロディアスなところもかっこかわいい。『ジャックと鳩時計の心臓』みたいに重たい場面のラップはなんかいいですね(マウイのラップも好きですが)。しかしロックですらご家庭には早すぎるみたいな時代から遠くに来たなって感じがします(いつごろ目線だ)。